私がソフトウェア業界に入った 2000 年代後半、日本の大企業の基幹業務は、紙・メール・Excel・ベンダー任せのスクラッチ開発で動いていました。この 20 年で多くは書き換わりましたが、「重要な業務ほど、内製でも保守でもない曖昧な場所に置かれている」状態は、いまも変わっていません。
コンサルティング会社は、提案書と戦略レポートを納品します。私たちは、提案書の代わりに、月曜の朝に動くシステムを納品する会社をつくりたいと考えました。戦略の精度より、2 年後も使われ続けている設計。これを基準に、2014 年に NEXUS を立ち上げました。
NEXUS のプロジェクトは、提案書を書く前に始まります。初週は、クライアントのオフィスに常駐し、現行システムのログ、業務オペレーション、現場のクレームまで自分の目で確認します。この 1 週間で集めた情報を、設計書の前提条件として使います。経営層が描いた絵と、現場が動かしている現実は、ほぼ毎回ズレているからです。
道具は揃った。残るのは、組織への組み込み方。
この 15 年で、クラウド・データ基盤・機械学習・生成 AI と、強力な道具が揃いました。ただ、道具は組織に組み込まれて初めて成果を出します。どれだけ優れたモデルでも、現場の業務フローに乗らなければ、稼働率は 1 年で 10% を切ります。技術選定より、組み込み方の設計に時間をかけるべきだと考えています。
だから私たちは、システム導入後に撤退しません。半年・1 年・3 年と並走し、クライアントの情シスが自前で運用・改修できる状態にするまでが契約範囲です。SI とは違い、納品して終わりではない。コンサルとも違い、提案書ではなく実装で関わる。平均契約期間は 3.2 年です。
物流、製造、金融、医療、公共。もう一度、作り直す。
日本には、世界に通用する基幹産業がまだ多く残っています。物流、製造、金融、医療、公共。これらの産業を支える基幹システムを、私たち世代のソフトウェアエンジニアの手で、現代のアーキテクチャに作り直す。これが、私が NEXUS で 10 年、20 年かけて取り組む仕事です。
派手な宣言はしません。
毎週の朝会、毎月のリリースノート、毎年の振り返り。この 3 つを、10 年単位で続けます。
NEXUS 株式会社
代表取締役 CEO
結城 遼 / Ryo Yuki