私がソフトウェアの仕事を始めた 2000 年代後半、まだ日本の基幹業務の多くは、紙とメールと Excel と、ベンダー任せのスクラッチ開発で動いていました。その構造はこの 20 年でずいぶん書き換わりましたが、「一番重要なものほど、見えないところで作られている」という事実だけは変わっていません。
コンサルティングは、言葉によって仕事の輪郭を引く仕事です。
私たちが選んだのは、言葉のあとに、実装で答えを出すことでした。戦略の美しさよりも、月曜の朝にちゃんと動くシステム。ロードマップの完成度よりも、2 年後も陳腐化していない設計。そういうものをクライアントと一緒に作りたい、と思って NEXUS を始めました。
設計書の最初の一行を書く前に、現場のログを一晩眺める。経営と現場、ふたつの座標系を地続きに描き直す ── それが NEXUS の、ちょっと風変わりな流儀です。プロジェクトの初週は、まずクライアントのオフィスに腰を据えて、何が詰まっているのかを自分の目で見ます。その時間は、提案書を作るための時間ではなく、自分たちの設計を「恥ずかしくないもの」に揃えるための時間です。
テクノロジーは道具だが、静かに決定的だ。
この十数年で、クラウド、データ、機械学習、生成 AI ── 強力な道具がいくつも揃いました。けれども、道具は組織に組み込まれて初めて仕事をします。どれだけ優れたモデルも、どれだけ精緻な基盤も、現場が「自分たちのもの」として使いこなせなければ、ただのスライド上の図です。
だから私たちは、導入の後に腰を据えます。半年、1 年、3 年と並走して、クライアントが自前で技術選択できる状態に持っていくまでが、私たちの仕事の範囲です。SI とは違うし、コンサルとも違う。一般的な名前は、まだ誰も付けていないのかもしれません。
日本の骨格を、もう一度。
日本には、まだ世界に誇れる基幹産業がたくさんあります。物流、製造、金融、医療、公共。それらの産業の「見えない骨格」を、私たち世代のソフトウェアエンジニアの手で、もう一度丁寧に編み直したい ── それが、私が NEXUS を通して 10 年、20 年かけて取り組みたいことです。
派手な宣言はしません。
毎週の朝会と、毎月のリリースノートと、毎年の静かな振り返りを積み重ねるだけです。
NEXUS 株式会社
代表取締役 CEO
結城 遼 / Ryo Yuki